さるとじぞうさま

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ろばたばなしの会の会員の方)さるとじぞうさま、長野県のお話し
 むかーしむかしある所に正直で優しいお爺さんがいた。ある日のこと畑へ出ていくと、山の猿達がきゃっきゃ、きゃっきゃと騒いでせっかく実った粟やそばを食い荒らしておった。お爺さんは驚いてほい、ほいと追ったけれど、猿達はちょっとは逃げてもまた戻ってくる。「困った困った山の猿達のいたずらには困ったわい」お爺さんはしばらく考えていた。ふといい知恵が浮かんだ。お爺さんは家に帰ってそば粉を顔や手や足にいっぱいに塗り付けると畑の隅にいってあぐらをかいて座った。お爺さんは自分がかかしになって畑の番を??。
 けれどじーっと座っているとだんだん眠くなってきて、いつの間にかこっくり、こっくり寝込んでしまった。そこへ猿達がぞろぞろ出て来て「おや、こんな所にお地蔵さまがいる。優しい顔をしたお地蔵さまだ。雨に濡れてはかわいそうだから山のお堂へ持って行こうよ」「そうだ、そうだ」猿達は長い手を出して手車を組むと、その上へお地蔵さまを乗せた。そしてえっさほい、えっさほい、えっさほい、えっさほいと??りだした。お爺さんはふと目を覚ましたが「こりゃ大変なことになったわい」けれどじーっと我慢をしていた。猿達はそのうち川の所へ来た。そしてざぶざぶと冷たい水の中に入って歌を唄いだした。「猿のお尻は濡れてもいいが、地蔵のお尻は濡らすなほいほい」猿達はだんだん深い所へ入っていった。するとますます元気な声で「猿のおへそは濡れてもいいが、地蔵のおへそは濡らすなほいほい」お爺さんはあんまりおかしな歌なので噴き出したくなったが、でもじーっと我慢をしていた。そのうち猿達は川を越えて向こう岸に上がると、山の天辺にあるお堂の所へ担いできた。そしてお堂の中にお地蔵さまを入れ猿達は手を合わせて拝んだ。そして木の実や小判などてんでにいろんな物を持って来てお地蔵さまに供えた。そしてどこへともなくみんな行ってしまった。お爺さんは「なんて可愛い猿達だろう」そっと目を開けて回りを見ると栗の実や小判やいろんなお供え物がしてあった。お爺さんはそれをみんなかき集めて家へ持って帰った。お婆さんと二人で「山の猿達がこんなにお供え物をしてくれた。わはは、おほほ」大喜びした。
 ところがそれを聞いた隣の欲張り爺さん「わしも行ってお供え物を貰ってこよう」とそば粉を顔や手足に塗り付けて畑の真ん中に座っていた。しばらくするとまた猿達がぞろぞろ出て来た。「おや、ここにもお地蔵さまが眠っている。でも怖い顔をしたお地蔵さまだな。またお堂へ運ぼうよ」そこで猿達は手車を組んでお地蔵さまを乗せるとよっさほい、よっさほい??りだした。川の所へ来ると、ざぶざぶと入って「猿のお尻は濡れてもいいが、地蔵のお尻は濡らすなほいほい」だんだん深い所へ入っていくと猿達は大きな声で「猿のおへそは濡れてもいいが、地蔵のおへそは濡らすなほいほい」欲張り爺さんはそれを聞くと、もうその歌が可笑しくて笑わずにはいられなくなってきた。そして我慢しきれなくなって「わははは」と笑ってしまった。猿達はびっくりして「ありゃりゃ、これは偽物の地蔵だ。人間だぞ」手車を放すとみんな散り散りに逃げていってしまった。お爺さんは冷たい水の中へどぼんと落とされて「ひやー助けてくれ」と悲鳴をあげた。そしてずぶ濡れになっておんおん泣きながら家へ帰っていったとさ。おしまい。

 

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