須賀の亀

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ろばたばなしの会の会員の方)一番最初はね、平塚の須賀の昔話。須賀の亀。
 亀っていうのはね、泳ぐ亀ではなくてね、人間の名前です。女の子の名前。
 昔平塚の須賀は、たいそう栄えた町でした。その中に亀という名前の女の子がいました。その子は、ちょっと知恵つきが遅かったけれども、いつもにこにこして、素直な子だったので、皆に好かれていました。
 ところがある年のこと、悪い病がはやって、亀もその病にかかって亡くなってしまいました。亀の両親は、亀が知恵つきが遅れていたので、地獄の鬼に、名前や場所を聞かれたときに、上手く答えられなくて、いじめられるとかわいそうだ。そう思ったので、亀の背中に墨で須賀湊亀と書いてやりました。
 それから何年か経って、江戸の旗本のお姫様に、綺麗なかわいいお姫様が産まれました。ところが、背中に黒いあざがあります。両親は何とかして、そのあざを消してやりたい、そう思いました。けれども、お医者さんに頼んでも、お寺や神様にお祈りしても、そのあざは消えませんでした。旗本の両親は女の子だから、こんなあざがあっては可愛そうだ。一生懸命手をつくしたけれども、何の効き目もありませんでした。お姫様はだんだん大きくなりました。大きくなるにつれて、そのあざは字に変わりました。須賀湊亀と読めるようになりました。これは不思議なことだ、ひとつこの須賀湊亀と書いてあるから、須賀湊へ行ってみよう。何か判るかもしれない。
 そこで須賀へ、お姫様を連れて旗本の両親は出掛けて行きました。須賀についてから「この辺りに亀という名のものはおるか」すると須賀の人は「ああ、大分昔に亀っちゅういう子がいたけど、とっくに死んじまったわな」「それでは、両親はおるか」「ああ、親ならそこらに住んでるよ」「では、わしらをそこに連れて行ってくれ」旗本がその両親のところへ行って、実はとお姫様の背中のあざの話をしました。そして「なにか心当たりがあるか」と尋ねると。両親は実はと、亀の背中に須賀湊亀と書いてやったという話をしました。「それでは、そなたの家の亀が、家の姫に生まれ変わったのか、不思議な事だ。だが、ひとつ、その亀の墓にお参りをしてみようと思う。連れて行ってくれ」そう言ったので、亀の両親が旗本をお墓へ連れて行きました。
 そして拝んでいるときに、お寺の住職さんが来ました。「何かご立派な方がお見えのようですので、何事かと思って出てまいりました。何があったのでございますか」それを聞いて旗本が実は、家の姫の背中にこういうあざがあるから来たのだという話をすると、住職は「そうですか、まあ滅多にない事ですけれども、昔にそういうためしは聞いた事があります。その時には、前の人のお墓の土で、そのあざをこすると消えるという事です。どうぞお試しになってはいかがですか。」そういわれて、お姫様の母親が、亀の墓の土をとって背中のあざをこすってみます。すると、みるみるあざはすっかり消えて、綺麗になりました。そうかそうかやっぱり、家の姫は亀の生まれ変わりであったか。それならば、姫の前の世の親であるお前たちは親も同然。これから親類付き合いをしようと言って、貧しい亀の親たちと親類付き合いをするという事を申し入れ、そして何かとその後も援助をしたという事です。
昔はねこんな不思議な話が伝わっています。

 この亀のお話を元にして、平塚の市民センターで9月に亀の贈り物という創作劇をしますのでぜひ見に来て下さい。

創作音楽劇
亀の不思議なおくりもの
〜平塚昔ばなし「須賀の亀」より〜
…ほらね、あの子がまた笑ってる あの子がくれた贈り物 きっとあなたに届くはず…
”相模国 須賀湊 亀”7つの文字に込められたメッセージ…

日時:平成18年9月23日(土)開演午後6時
          24日(日)開演午後2時
会場:平塚市民センターホール
入場料 一般2000円 高校生以下1000円 全席自由

 

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