うりこひめこ

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ろばたばなしの会の会員の方)うりこひめこ
 むかし、むかし、あったとさ。爺さと婆さが二人暮しであったとさ。爺さは山へ草刈りに、婆さは川へ洗濯に行った。婆さが川で洗濯をしていると、川上からでっかい瓜が、ぽっこり、ぽっこり流れて来た。婆さは喜んで「瓜、瓜こっちへ来い。瓜、瓜こっちへ来い。」と言うと瓜は婆さの前まで流れて来た。婆さはえんこらしょと瓜を拾って家へ持って帰り、爺さと一緒に食べようと戸棚の中へしまって、爺さの帰りを待っていた。やがて爺さが帰って来たので、婆さは「爺さ、爺さ今日はな、川からでっかい瓜を拾って来たから、二人で食べないか。」と言うと、爺さは喜んで「それじゃ、早速ご馳走になるか。」と言って、包丁を持って来て瓜を切ろうとしたら瓜はぱかっと割れて中から可愛らしい女の子が出て来た。二人には子供が無かったから、それはそれは喜んで、うりひめと名前をつけて、大切に育てた。
 やがて、うりひめは大きくなって奇麗な娘になった。何を教えてもすぐに覚えるし、とりわけ機織りは上手で、毎日良い音を発てて機を織っていた。そうしているうちに、うりひめの噂を聞いた近所の殿様が使いのものをよこして「ぜひともうりひめを嫁にしたいから、城へ来てくれ。」と言われた。婆さは喜んで「うりひめ、うりひめ、おれたちは、これから町へ行って嫁入り支度の買い物をしてくるから、お前は家で機を織って待っていろよ。だが、誰が呼ばれたって戸を開けちゃなんねえよ。天ん邪鬼が来て戸を開けろなんて言うかもしんねえけんど、けっして戸を開けてはいけないよ。」よくよく言い聞かせて二人は町へ出かけて行った。
 うりひめは戸を閉めて機をテンテンカラリン、テンカラリンと織っていた。山の天ん邪鬼は、爺さと婆さの様子をすっかり見ていたので「よーし、うりひめの所へ行ってやろう。」と言って山から駈け降りた。そして「うりひめ居るか。居るなら戸を開けてくれよ。」と戸を叩いた。うりひめは「居るには、居るけど、誰が来ても戸を開けちゃなんねえと言われているさけぇ開けられねえわ。」と断わった。すると天ん邪鬼は「なら、ちょっとだけ、指の入るだけ開けてくれや。」と言った。うりひめは、まあ指の入るだけなら開けてやるか。指の入るだけ開けてやった。すると天ん邪鬼はまた「うりひめ、うりひめ、もうちょっと開けてくれや。手の入るだけ開けてくれや。」と言った。うりひめは「じゃ手の入るだけ開けてやるか。」と言って、手の入るだけ開けてやった。すると天ん邪鬼は、また頼んできて「うりひめ今度は足の入るだけ開けてくれや。」と言った。「いやー、爺さと婆さに怒られるさけぇそれは出来ねえ。」「でもな、足が入るだけなら、良いじゃねえか。」と天ん邪鬼が??言うので、うりひめは、じゃ足の入るだけ開けてやるか。足の入るだけ開けてやった。すると天ん邪鬼は、今度は「うりひめ、今度は頭の入るだけ開けてくれや。」「嫌だ、爺さと婆さに怒られるさけぇ、嫌だ。」と断わったが、「頭が入るだけなら良いじゃねえか、身体が入らねえんだから、開けてくれや。」と言うので、頭の入るだけ開けてやるか。頭の入るだけ開けてやった。すると天ん邪鬼は頭が入ったものだから、喜んでそのまま家の中へ飛び込んで、うりひめを無理やり機から引きずり降ろして、着物を剥いで、それから裏山に引っ張って行って、大きな梨の木にうりひめを縛り付けた。そして天ん邪鬼はうりひめの着物を着て、うりひめに成り済まし、機が織れないのに機の前へ座ると歌いだした。「うりひめさんはえーもんだ、機は織れるし、お嫁に行くし、テンテンカラリン、テンカラリン。」そこへ爺さと婆さが町から戻ってきた。天ん邪鬼はうりひめの着物を着て機の前に居るので、爺さと婆さはすっかり騙されてしまった。
 あくる日、お城の殿様の家来が大勢お駕籠をもって迎えに来た。爺さと婆さはうりひめだと思い込んで、奇麗に着飾ってお駕籠に乗せてやった。さて花嫁さんの行列が山の大きな梨の木の側を通りかかると、カラスどもがこう歌った。「うりひめさんの乗る駕籠に、天ん邪鬼がうち乗った、カァー、カァー。」変なことを言うもんだと思っていると、またカラスどもが「うりひめさんの乗る駕籠に、天ん邪鬼がうち乗って、どこへ行くんだやら、カァー、カァー。」としきりに??。いやーさてさておかしいと上を見たら、大きな梨の木にうりひめがぐるぐる巻きに縛り付けられていた。お駕籠の中の天ん邪鬼は正体がばれたと駕籠から逃げ出した。爺さと婆さは怒ってしまって、天ん邪鬼を捕まえると、奇麗な着物を剥いで、天ん邪鬼を梨の木に縛り付けた。うりひめは花嫁衣装を着せてもらって、お駕籠に乗って、お城の殿様の所へお嫁に行ったとさ。??。

 

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