U教育普及活動
1.教育普及活動の計画
教育普及活動に重きをおいた新しい地域博物館をめざして、開館以前から、幾度となく討議し、計画検討を重ねてきた。
そのため、建築設計のマスタープラン時から、特別展示室・講堂・科学教室・茶室など、教育普及用施設の確保や、利用者の動線を考えた配置を配慮してきた。また、運営する職員の確保にもつとめ、組織化を図ってきた。
開館後の活動計画については、当初、特別展・自然観察会・出版活動にウエートを置く計画だったが、予算的制約からも、必しも満足のいく活動に至っていない面もある。しかし、全職員の手・足・頭脳で、新しい地域の情報センターに、着々と整備していきたいものと考えている。
2.特別展の企画と実施
(1)特別展示室の概要
特別展示室・講堂のある一画は、建築的にも設備的にも、きめ細かく計画、施行されている。149uの特別展示室、107uの講堂、約100uのホール・廊下の合計350uを一体として使用し、大きな特別展にも対応できるよう、動線、照明等に配慮が加えられている。特別展示室のケースは建築工事で製作し、多目的な展示に応えられるよう、可動的要素をとりいれてある。ケース内の空調は別系統とした。
(2)特別展の構想
常設展示で扱えなかったもの、常設展示をさらに深く掘り下げて展示できるもの、館の研究成果などを、テーマ的に展示することとした。
運営方針としては、年間3〜5回の特別展を、<相模川流域シリーズ><自然と文化シリーズ><博物館資料シリーズ>に分けて行なう計画である。1回の開催期間は40日前後、担当スタッフは2〜3人のチームとし、特に特色ある図録の発行に力を入れることとした。
初年度は、相模川流域シリーズ3回、博物館資料シリーズ2回の、計5回の特別展を実施した。
(3)相模川の舟と漁<相模川流域シリーズ1>
シナリオ
相模川流域の文化を考える時、川で生活してきた人を見逃すことはできない。川漁の民具や川舟等を通じ、自然と人間の出会いや、その技術を中心に、地域文化を考えるため企画。(担当:小島・森田・小川)
1.主旨 2.モジリ 3.村井弦斎と釣道具 4.投網 5.投網を作る 6.ビク 7.うなぎ取りの道具 8.その他の漁法 9.相模川の舟 10.舟大工道具 11.帆掛船 12.錦絵 13.網
図録「相模川の舟と漁」
アメリカンレターサイズ48頁、表紙カラー印刷
内容 プロローグ・日本の川舟・描かれた相模川の舟・相模川の舟・舟をつくる・相模川の交通・相模川の漁・漁をかたる・相模川の魚・変化と歴史・エピローグ
企画・本文執筆:小島、デザイン・イラスト:森田、図・写真:小島・小川・浜口・明石。
(4)「相模川の生きものたち」<博物館流域シリーズ2>
@干潟の動物たち
干潟のジオラマ(4)やカット模型(7)鳥の剥製(6)など。
A川の魚たち
収集された魚(2)魚を食べる鳥(3)相模川のフナ(4)など。
B川原の動植物
いろいろななかま(2)ヤナギをめぐる虫たち(6)など。
シナリオ
相模川の流れの中や川原は、魚・鳥・虫など数多くの生きものたちの住み家ともなっている。そうした生きものたちのくらしにスポットをあて、意外なほど豊かな自然が残されている相模川を、自然とふれ合う場、自然観察の場として再発見して見るため企画した。
(担当:浜口・森田)
図録「相模川の生きものたち」
アメリカンレターサイズ24頁、表紙3色・本文2色刷。
内容 干潟の動物たち(相模川河口の干潟・干潟の鳥たち・渡り鳥の四季・いろいろなくちばし・泥の中の動物たち)、川の魚たち(収集された相模川の魚・相模川のフナ・魚の体・魚を食べる鳥)川原の生きものたち(川原の植物・川原の狩人たち・川原の掃除屋たち)、相模川下流の自然観察ガイド。
企画・撮影・本文執筆:浜口、デザイン:森田、測量・原図:小島・明石・鳫・森。
(5)発掘への招待 No.1<相模川流域シリーズ3>
2.発掘の1日
3.上の入遺跡断面模型
4.同ジオラマ
5.同平面模型
6.縄文時代の家と道具
7.上の入遺跡の石器
8.上の入遺跡の土器
9.相模川流域の主な遺跡地図
10.11.流域各遺跡の縄文資料
12.縄文時代の自然
13.縄文人
14.土器を作る
15.五領ケ台遺跡の土器と石器
16.万田遺跡の土器と石器
シナリオ
過去4年間、のべ140日間にわたる、市内岡崎上の入遺跡発掘調査の縄文時代の成果を中心に、五領ケ台遺跡をはじめ流域各地の縄文文化を含め、当時の人々の生活の一端を追求するために企画した。(担当:小島・明石・森田)
図録「発掘への招待 No.1」
―相模川流域の縄文時代―
アメリカンレターサイズ24頁、2色刷。
内容 上の入遺跡の発掘(発掘の1日・ベールをぬいだ縄文のムラ・家と道具・上の入遺跡出土のいろいろな石器・上の入遺跡出土のいろいろな土器)、縄文時代の自然(石と縄文人・海と山に幸を求めて)、相模川流域の縄文時代(おもな遺跡・流域の縄文文化)、縄文時代にせまる(縄文人・家をつくる・土器づくり・石器づくり・道具を実験する。)
企画・撮影・本文執筆:小島・明石、デザイン・イラスト:森田、原図:明石、同定:浜口・森。
(6)相模の人形芝居展<博物館資料シリーズ1>
2.三番叟
3.動く人形
4.碁太平記白石噺揚屋の段
5.義経千本桜初音の旅路
7.前鳥座 生写朝顔話 大井川の段
10〜15.いろいろな人形
16〜18.いろいろな小道具
19.いろいろなカシラ(入力者註:カツラの間違い?)
20.前鳥座文政4年銘の肩板
21.文楽パンフレット
22.旅荷
23.義太夫関係資料
シナリオ
平塚市所蔵の人形は、昭和初期に創案された一人遣いの文楽の人形で、乙女文楽から一括譲り受けたものである。江戸時代末から明治にかけて作られたものと思われる。この他に市内四之宮の前鳥座の人形も現存するので、今回、これらをあわせて、初めて公開した。
(担当:大木、指導:桐竹千代子・今泉義広)
(7)平塚市所蔵美術展<博物館資料シリーズ2>
平塚市には、地域の作家や市民から寄贈を受けた美術作品が多数所蔵されている。その中から洋画・日本画・彫刻・工芸・書の107点を一同に集めて公開し、美に対する意識を高めるため企画。
作品の種類で、3月10日〜20日、24日〜4月5日、7日〜20日に分け展示。(担当:森田)
(8)寄贈品コーナー<1階展示室 No.14>
準備室・開館後を通じて博物館に寄贈された資料の紹介および、博物館資料に対する啓蒙、収集への協力のよびかけを目的としたコーナー。開館後1月間は、「平塚の文化財」として市内の指定文化財を展示した。その後、寄贈品コーナーとして、下記のように1カ月ごとに資料を展示替えしている。
現在、寄贈資料は、民俗資料が多いため、これを中心に展示している。展示の季節や館の行事との関連を考慮に入れ、コーナーを2分ないし、3分し1区画ごとに資料をセット的にまとめて展示している。(担当:小川)
―第1回(5.25〜6.22)―
縄文式・弥生式土器、義太夫資料、高札 68点
―第2回(7.1〜30)―
シャコ貝 4点、ダルマ木型・製作工程 34点
―第3回(8.1〜29)―
背負梯子、鍬・万能、印袢天・ハラガケ 23点
―第4回(9.1〜29)―
百万遍数珠、花菓子木型、写真資料 40点
―第5回(10.1〜30)―
鳥獣剥製 9点、稲収穫・脱穀・調整用具 10点
―第6回(11.2〜28)―
消防用具(竜吐水・桶等)、火鉢・アンカ 26点
―第7回(12.1〜26)―
藁製品(蓑・足半・俵等)、お札 34点
―第8回(1.5〜30)―
シダ植物 10点、婚礼用具(打掛・什器等)14点
3.プラネタリウムの運営
科学教育の一環として、天文や宇宙科学への関心を高めるため設けられた施設である。
投影は、土・日各2回づつ、1回約45分間を毎月テーマを変え、担当職員2名が交代で解説している。水・木は団体公開日として、各2回、申し込みのあった日に実施してきた。夏休み中は、水・木の午後は、一般投影を実施した。定員128人入場料1人100円、団体は70円である。
投影解説用のリーフレットは、年4回発行している。(担当:小林・鳫)
学校とプラネタリウム
平塚市立小中学校の児童生徒に対し、プラネタリウムを学校教育に計画的に利用するため、児童生徒プラネタリウム等利用運営員の手で計画が進められてきた。
運営員は、小中学校の校長・教諭、市教育委員会指導部指導室指導主事、博物館の職員計9名である。指導室を中心に運営員会を行い、投影の内容・小中学生の実施時期の検討と共に、教師用・児童用の手引き書を作成した。
中学生のプラネタリウムの利用は、手引き書が完成した後の、9月下旬から12月の上旬にかけ、水・木の団体投影日に天文担当職員の解説で行なわれた。50分の時間を、中学1年で習った復習をかね、日周運動・年周運動にポイントをおいてまとめてきた。従来、中学2年生は、県立青少年センターを一日青少年センターとして利用し、プラネタリウムを観覧していたが、これを変更して、本館のプラネタリウムを利用することになったものである。初年度でもあり、利用方法等に色々研究すべき課題が見られた。このことは学校教育と博物館という大局的課題として今後も研究していく必要があろう。
来年度から小学校4年の児童を対象とした、学校投影も実施する予定である。
4.体験学習シリーズ
入口に近い1室、生活の中の科学を中心とした体験学習用に作られた100uの科学教室は、今年度、主に身近な自然を生かした体験学習シリーズのレクチャールームとして使用してきた。この他にも、自然観察会の実験教室、中学生の夏休み作品展会場、さらには特別展記念講演会場、古文書講読会等に使用してきた。
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表21 51年度出版物一覧 |
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名称 |
目的・内容 |
発行年月日 |
対象 |
版・ページ |
部数 |
印刷方法 |
配付方法・備考 |
はくぶつかん |
館の行事・諸活動のPRニュース |
51.5.1より毎月1回 |
一般 |
B5・2P |
3,000〜5,000 |
庁内オフセット |
館内無料配付 |
年報 |
館活動報告・研究誌(第1号は建設の歩み) |
52.3.20
年刊 |
関連研究機関 |
B5・72P |
600 |
外注・活版 |
無料配付 |
博物館資料シリーズ |
館の目録や調査報告
No.3 平塚市遺跡分布調査報告U
No.4 平塚市資料所在目録(土沢地区)
No.5 平塚市資料所在目録(金目地区) |
51.5.1
51.10.30
52.3.30
|
関連機関研究者
関係者他
関係者他 |
B5・55P
B5・105P
B5・110P |
300
80
150 |
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ |
無料配付
無料配付
無料配付 |
要覧 |
館の施設概要紹介 |
51.4.26 |
関係者・関連機関 |
A4変形
12P |
2000
|
外注オフ |
鹿島建設提供 |
ポスター |
開館PR |
51.3.20 |
|
B1
半切 |
500
|
外注
3色オフ |
デザイン提供
kaiding |
リーフレット |
博物館の案内
館内用
館外用 |
51.4.26
51.4.26 |
一般
一般 |
A4・2枚3折
A4・3折 |
20,000
10,000 |
外注・1色・オ
外注・2色・オ |
無料配付
丹青社提供 |
プラネタリウムリーフレット |
プラネタリウム見学ガイド
|
51.4.26より
季刊
春夏秋冬 |
一般
|
A5・4P
|
5,000〜1,3000 |
外注
2色オフ |
入場者無料配付
五島光学・
凸版印刷提供 |
展示解説カード |
展示室各コーナーの解説 |
51.4.26
|
一般
|
B5・2P
6種類 |
各6,000
|
庁内オフ
|
無料配付
|
特別展図録 |
特別展示解説書
相模川の舟と漁
相模川の生きものたち
発掘への招待No.1
平塚市所蔵美術展 |
51.3.30
51.7.15
51.11.1
52.3.1 |
一般
一般
一般
一般 |
アメリカンレター48P
アメリカンレター24P
同上
B4・24P |
1,500
800
800
800 |
外注オフ
外注オフ
外注オフ
外注オフ |
販売 300円
販売 300円
販売 300円
関係者無料配付 |
特別展リーフレット |
相模川の舟と漁
相模川の生きものたち
発掘への招待No.1
相模の人形芝居展 |
51.5.1
51.7.30
51.11.5
52.1.5 |
一般
一般
一般
一般 |
B4変形4P
B4・3折
B5・4P
B5・4P |
2,000
1,500
4,000
500 |
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ |
無料配付
無料配付
無料配付
無料配付 |
特別展ポスター |
相模川の生きものたち
発掘への招待No.1
相模の人形芝居展 |
51.7.20
51.10.27
51.12.25 |
関係機関
関係機関
関係機関 |
B4
B4
B4 |
200
300
150 |
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ |
学校、博物館、公民館などに掲示依頼 |
特別展案内状 |
発掘への招待No.1
相模の人形芝居展 |
51.10.27
52.1.5 |
関係者
関係者 |
ポストカード
庁用葉書 |
200
100 |
館内DP
庁内オフ |
|
絵葉書 |
発掘への招待No.1の記念絵葉書
展示室絵葉書(記念品) |
51.11.4
51.12.18
|
関係機関
関係者
|
封筒付
5枚組
封筒付
5枚組 |
300組
1200組
|
外注1色
外注4色カラー |
関係機関無料配付・丹青社提供
関係者への記念品
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テキスト |
自然観察会
体験学習シリーズ
星を見る会
連続講演会
地方史研究入門
川の自然を考える
月例講演会
平塚の植物
古文書講読会 |
毎月1回
毎月1回
毎月1回
51. 8〜9
51. 2〜3
51.10.9
2回 |
一般
一般
一般
一般
一般
一般
一般 |
通常
B6・8P
B6・8P
通常
B6・4P
B4・32P
B5・32P
B5・12P
B4・20P |
50
50
100
60
150
150
150 |
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ
庁内オフ |
無料配付
無料配付
無料配付
参加費 100円
参加費 100円
無料配布
無料配布 |